|
泰平
photo:和治, (C) 泰平, courtesy of 泰平&ユカリアート・コンテンポラリー 「通信」 昭和の香り漂う電気コタツが積み上げられ 順番に点灯消灯を繰り返す、という作品。 ギャラリーの入口を入ってすぐが、いしかわ作品、 同室の奥半分が、淀テク、そして、廊下を五歩歩いて第2室へ。 そこに、どんと現れるのが、泰平の空間。 パッと見、可笑しな印象とは裏腹に、ここに長居する人は多かった。 魅入られる何か。 ずっといると、微かな音が聞こえてくるのに気付く。 かち、かち、かち、かち.... 点滅とともに音が鳴っている。 「BGMを流しているの?」と聞かれたりもしたが、 ノンノン。ランプ自体が点くとき鳴るのだ。 ランプに手を近付けて温かさを確かめようとする人もいたが、 実は、熱はあまり出ていない。 光も眩しくはない。 弱くはないがずっと見ていられる光量。 実は、ちゃんと制御されている。 10cmほど底上げされた土台の下に仕込まれた機器に 全てのコードが繋げられ、電気の量と通電のタイミングが 予め設定されている。 それは、容量や安全のための現実的必然であると同時に、 表現の要点を示していると言えると思う。 つまり、 「点く/消える」の「連なり」が、目の前に提示されている というただ単純なそれだけのこと。 そのためのコタツの塔なのだ。 作者の超クールな意図と、 「コタツ」に対する観賞者の先入観との、強烈なギャップ。 説明されちゃえば何もかも明らさまなはずなのに、なんかずっと謎謎な感じ。 自ずと、作品の前では様々な会話が生まれ、お客さんたちのシナプスが弾ける音が 聞こえるかのようだった。
photo:川本史織, (C) 泰平, courtesy of 泰平 & ユカリアート・コンテンポラリー 「浮遊」 シャープペンシル on 和紙, きちっと描かれたドローイング。 コタツが浮遊している.....。 コタツ個々には一点透視図法的奥行きが表現されているが、 全体としては消失点はバラバラで、どこに中心が在るわけでもない、多次元的不思議世界。 絵で表されるITの概念。 和紙に SHARPで 線描で コタツ. 多焦点的で........... 裏テーマ日本。ともとれる作品。 国境なき今日の芸術において、自らの立ち位置を示すことはとってもグッドマナーである。 外国からのお客さんや、平成生まれのお客さんも多かったけれど、 コタツをエキゾチックなもの、懐メロ的なものとして見てはいないようだった。 意外と言えば意外だが、「コタツ」という観念よりも、もっと 人間の深いとこに届く何かがあったのかもしれないし、 脳内でのいろいろな楽しみ方を許容する作品であったということかもしれない。 すぐそばで、積み上げられたコタツが点滅しているためか、 なんとなく、絵の中のコタツ達も点滅して互いに通信しているような気がしてくる。 或いは、無限的に大量で無関係な状態の個々が、繋がりうる可能性を示唆しているのか? 「インターネットの時代におけるアートの在り方」を中心テーマに据え、 web上においてwebならではのプロジェクトを進めている泰平が、その一方で、 現実空間において現実の物体を用いて、逆にITそのものについて喚起・表現し続けているのは、 大変興味深く、注目すべき点だと思う。 さらに今回のこの作品は、絵。 こうしてみると、絵って、コミュニケーションの原初的機能拡張なんだぁと思う。 人間の感情や思考、記憶や想像を表出し、それを共有したり影響しあったりする、その方法。 アートもまた、その歴史と言えるし、ITは正にそのためもの。 現実の空間、絵画の空間、ネットの空間.....。すべてを行き交うコタツ。 団欒のテーブルはいつだって用意されているのだ。 蘊蓄... 淀テク / 泰平 / いしかわ / 総括 写真... 淀テク / 泰平 / いしかわ / 総括 |